About DELTA's works


"道具を作るということ"

モノを創造するとき、どの段階が"完成"と言えるのか?と考えたことがあります。

考え方や解釈はそれぞれでしょうが、例えば絵画などの芸術品は作り手がそれ以上手を加える必要がなくなった時、それが"完成"といえるのかな、と思います。つまり、そのモノの最高の状態が"完成"であると。

では、"道具"の場合はどうでしょうか。それが作られて、使い手に渡せる状態になったときでしょうか?私にはまだそれが"完成"ではないような気がします。例えばスピーカーやアンプには、買った後に意図的に音質を調整して、回路を好みの音になるまで馴染ませる"エイジング"という概念があります。自動車には"慣らし運転"があり、運転手の癖や好みを自動車に染み込ませます。一流の大工は何十年と使い込まれたカンナを直しながら使います。道具というのはこうして使い手が"完成"させるものではないかと考えました。

 

"道具は使い手が完成させる"

だから、工房DELTAの製品本体にはロゴやネームを入れていません。我々の手で作られたばかりの道具はまだ完成に至っていないと思うからです。ロゴやネームが欲しい場合は、この道具が手にすっかりなじみ、これ以上ない状態になった時、使い手であるあなたの名前を刻んでください。それはあなたが完成させた道具なのですから。

"モノと名前の価値"

モノを手に入れる時、やはりブランドが魅力的に思えることがあります。それ自体は当然のことでしょう。信頼性やステイタスといった概念はモノ選びの基本とも言えます。ただ、それはやはり"新しく手に入れるモノ"を選ぶ基準です。

数十年も使った道具に愛着が湧くのに、ブランドは必要ありません。「どこで買ったか忘れたけど、ずっと使っているものだから」「誰が作ったか知らないけど、おばあちゃんが使っていたものだから」といって工房DELTAのアイテムが愛用されていれば、作り手としてこれ以上の喜びはありません。